Facebookページ「インサイト」の見方について、GOHANの事例を参考にご紹介します。
1. Facebookページインサイトとは?
Facebookページには「ページインサイト」機能があり、そこではコンテンツ閲覧者のオーディエンスデータや各コンテンツのパフォーマンスデータを見ることができます。例えば、動画を投稿した場合、再生数・ユニークビューワー数・リーチ数・エンゲージメント数・平均再生時間・視聴継続率・上位視聴者層の年代/性別/居住地域など、あらゆる情報を取得することができます。
「インサイト」とは、マーケティング領域においては、自分目線ではなくユーザ目線に立った時に相手がどう考えているのか、何を求めているのかを推察する際に用いられるワードです。端的には、「消費者行動やそのデータの裏側に隠された潜在的な欲求」を指します。
つまり、Facebookから提供される豊富な消費者データ(視聴データ)を元に、何を求めているのか、逆に何が受け入れられなかったのかを洞察し、仮説検証を繰り返しながらユーザ(Facebookページのフォロワー)にとっての最適なコンテンツを提供し続けていくことが非常に重要です。
Facebook側が提供してくれるのはあくまで定量的なデータであり、大事なことはその定量データをもとに定性的な分析を行い、どのような仮説を導き出すかということです。
2. Facebookインサイトの見方
2-1. 動画の投稿データへアクセスする
弊社で運営している料理動画メディア『GOHAN』のインサイトを元にご説明していきます。
まず、Facebookのビジネスページ(https://business.facebook.com/(アカウント名)/)を開き、「インサイト」のタブから左側カラムの「投稿」をクリックします。
そうすると、今まで投稿した投稿の一覧が表示されます。
この一覧だけでも、オーガニックリーチ、有料リーチ(広告)、リアクション数、エンゲージメント率のサマリを見ることができます。
▼となっているところをクリックすると、フォロワーへのリーチとフォロワー以外へのリーチがどのくらいかの割合を見ることができます。
例えば、去年のハロウィンで投稿した動画を見てみます。通常の料理ネタで投稿した「レンチンボロネーゼ」と「ベーコンポテトタルト」は9割以上がフォロワーに対してリーチしていましたが、ハロウィンを意識した「目玉ゼリー」は濃いオレンジの割合が多いことがわかります。
これは、フォロワー以外へたくさんリーチした=いいね!やシェア等でたくさん拡散された、ことを意味します。いわゆる「バズった」動画といえます。この「目玉ゼリー」のリーチが293.5Kとなっていますので、約30万人にリーチしたことになります。
各投稿ごとに相対的なパフォーマンスはこの一覧でおおよそ、「これはウケた」「イマイチだった」というのはわかります。ここから先は各投稿の詳細データを追っていきましょう。
2-2.投稿の詳細データを見る
動画で投稿するメリットは、各プラットフォームがアルゴリズム上優遇している、リーチを獲得しやすい、情報量が多いためにブランド認知に効果がある、などいろいろありますが、特に「インサイト」の面に関していうと、テキストや写真の投稿コンテンツに比べて取得できるデータ量が圧倒的に多いことです。
写真とテキストの場合、その投稿を何人が見たか、というデータしかわかりませんが、動画の場合、3秒以上見た人はどのくらいいるのか?50%経過時点での視聴継続率はどのくらいか?平均再生時間はどのくらいか?最初の1,2秒で離脱してしまった人はどのくらい?など、TVCMを担当している人が知りたくてもわからないようなデータがFacebookの場合、詳細に把握することができます。
先ほど登場したハロウィンの「目玉ゼリーのつくり方」を例に見てみましょう。
まず、一番最初に気になるのはやはり「動画再生数」だと思います。この動画再生数とは、3秒以上視聴した場合のみカウントされますので、タイムラインに表示されても1秒でスルーしてしまった人はこの中にカウントされません。この動画は約12.6万再生でした。既にリーチは約29.4万と出ていますので、動画の再生率は42.9%となります。
つまり、タイムラインで表示された人の40%以上の方がこの動画を再生したことになります。一般的な動画コンテンツの合格ラインはおおよそ30%前後と言われていますので、40%超えというのは非常にパフォーマンスの高い動画といえます。
この数値が30%を切ってしまうと、最初の2秒くらいで見る価値がないと判断した人が多いということになりますので、その企画はユーザに刺さらないものだったのでは?もしくは映像のクリエイティブに問題があったのでは?と疑った方がいいかもしれません。
次に、「動画の平均再生時間」の項目を見てみましょう。
Facebook側としては、当然ユーザに長い時間滞在してほしいので、ユーザにとって有益なコンテンツを優遇するわけですが、その上で重要な指標の1つになってくるのがこの再生時間です。
この再生時間はトータルの動画の尺に左右されますので、11秒が長いか短いかはメディアによって異なりますので、ぜひ自社メディアの平均の数値と比べてみてください。
GOHANの動画は約1分の尺で、平均一桁後半ですので、非常に高いパフォーマンスとなりました。
その「動画の平均再生時間」の項目をクリックすると、どのくらい視聴継続されたかのグラフを見ることができます。
この結果を見ると、安定して動画の後半まで約3割の方が視聴継続していることがわかります。
パフォーマンスの悪い動画の場合、冒頭で急激に落ち込んで10%~20%へ低迷し、ラストシーンはほんの数%しか見られていない、ということもありえます。
こちらは別のチャーハンの動画ですが、26,27秒あたりで急激に落ち込んでいるポイントがあります。理由は単純で、ここでおおよそチャーハンが作り終わって、満足してしまったからです。作り終えるところまでは非常に高い視聴継続率を維持していましたので、成功といえば成功ですが、最後見ている人を飽きさせない演出ができれば、もっと高い数字のまま終えることができたかもしれません。
映像制作をされている方は、ただ投稿して終わり、ではなく、このインサイトを見ることで、もっと良い演出はできなかったのか?改善の余地はないか?と探るヒントをここから得ることができます。
このPDCAサイクルを高速で回していくことで、より最適な映像コンテンツを提供し続けることができるようになるでしょう。
次に「視聴者とエンゲージメント」という項目を見てみましょう。
ここでエンゲージメント数や上位視聴者層、上位視聴エリアなどのデータを見ることができます。
GOHANは男性向け料理動画メディアを謳っていますが、やはりこの投稿でもメインの視聴者層は「35-44の男性」となっていました。小さいお子さんを持つパパがこの動画を見てお子さんと一緒に作ろうと思ったのでは?という視聴ニーズが浮かび上がってきます。
各メーカーさんは自社製品に対してメインのターゲット層を細かく設定しているかと思いますが、ここで想定していない層にリーチしていた場合、「もしかしたら自分たちが想定していた層とは違うところにニーズがあるのかも?」と見直すきっかけになるかもしれません。
もしくは、本来リーチしたい層に十分にアプローチできていない場合は、そこの層に絞って動画広告を当てるなど、いろいろ対策を講じることができます。
「上位地域」の項目では全国各都道府県で、どこのエリアで一番見られているのか確認することができます。GOHANの場合はエリア関係なくレシピ動画を提供していますので、人口に比例している場合がほとんどです。
九州に拠点があるメーカーさんであれば、福岡が一番視聴者数が多いかもしれません。
逆に、人口に比例せずに視聴者数が多い県があれば、なぜそこで認知が広がっているのか調査してみるのもよいかもしれません。
また、営業拠点があるのに視聴者数が少ない場合、認知されていない・営業活動がうまくいっていないという気づきを得るきっかけにもなります。
2-3.重要KPIの1つ、エンゲージメント率を把握する
フォロワーが何十万人もいても、再生回数が少ない、もしくはいいね!・シェア・コメントが少ない、というのでは決して良いコミュニティを築けているとはいえません。
昨今のFacebookのアルゴリズム変更の影響で、100万人以上のフォロワーがいるメディアでさえ、フォローしていてもタイムラインにコンテンツが浮上してこないためにリーチが伸び悩むケースが増えています。普段からコメントしている人には”結びつき”ができているので、きちんと表示されるようです。
Facebookとユーザ両方に価値のあるメディアとして認められるためにはこのいかにエンゲージメント率を高く維持するかということに腐心する必要があります。
「動画」タブから「投稿タブ」に切り替えると、細かいエンゲージメントデータを見ることができます。
「いいね!」「超いいね!」「うけるね」「すごいね」「悲しいね」の喜怒哀楽の数値から、どのくらいクリックされたかの数値も表示されます。
エンゲージメント率の算出方法は以下のとおりです。
エンゲージメント率=エンゲージメント数/リーチ数×100
ここでいうエンゲージメント数はリアクション・コメント・シェア+投稿クリックの合計数を指します。つまり、今回の「目玉ゼリー」のエンゲージメント数は以下の数字になります。
3,195(リアクション・コメント・シェア)+10,242(投稿クリック数)=13,437
よって
エンゲージメント率=13,437/293,457×100=4.578…=4.6%
約4.6%という数字が出ました。一般的なエンゲージメント率は2~3%ですので、相対的に非常に良い結果となりました。
これが2%を切ってしまうと、完全にユーザに刺さっていない、求めていないコンテンツを作ってしまっている可能性を疑う必要があります。
また、特定の投稿のみエンゲージメント率が低い場合はその投稿の何が悪かったのかを精査する必要がありますが、平均的に1~2%に留まってしまっている場合は、メディアの方向性やコンテンツ戦略を見直す必要があるかもしれません(メディアのジャンルによってエンゲージメントを得やすい・得づらいという差がありますので一概には言い切れません)
3. 総括
今回は料理動画メディア『GOHAN』の実際のデータを元にインサイトって何?エンゲージメント率ってどうやって算出するの?という話をさせていただきました。
食以外にもファッション、メイク・ネイル、住まい・リノベ、アウトドア・旅行など、様々なカテゴリがあり、エンゲージメントの得やすさは異なりますが、どのように指標を読み解いていくかという点では共通していますので、これからFacebookページの運営を進めようという方にとって参考になれば幸いです。
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